お仕事で営業やそれに近い職種の人はお客様先に訪問しますよね?
普通は面談時間の約束=アポイントを取ってから訪問すると思いますが、この記事では「アポなし訪問」についての考察を記事にしました。
基本的には法人営業のアポなし訪問の考察ですが、個人営業の方にも部分的に参考になるところがあると思いますので読んでもらえたら嬉しいです。
こんな方におすすめの記事です。
・新規開拓なのでそもそもアポを取るのが難しい。
・既存顧客の訪問だが忙しそうで連絡がなかなかつかない。
・別件で近くまで来て寄りたいが、アポなしなので訪問するかためらいがある。
営業のアポなし訪問はあり?なし?
20年以上営業マンをやってきましたが結論としてありです。営業には一つの正解というものはありません。もちろんデメリットはありますが、メリットがある以上選択肢としては有効です。
アポなしのメリット
どんなメリットがあるのでしょうか?その内容を状況別に説明していきます。
お客様担当者が不在の場合
メリット1:純粋にお客様に対して「訪問したという事実」が残ります。薄いかもしれませんが、その記憶はお客様に残るので何かの時に思い出して連絡をもらえたりする可能性が上がります。
名刺にメッセージを書いて残す。一目で伝わる1枚物の資料を残す。など
大切なのは形をきちんと置いてくることです。
時々「また来ます!」といってそのまま帰ってしまう営業マンがいますが、形を残すと残さないとでは大きな違いが生まれます。すぐには効果を実感できないと思いますが後々効いてくるポイントです。
メリット2:普段は会えない人に会える。お客様の担当者がいなければ、その方の上司若しくは部下の方にご挨拶が出来るかもしれません。
「担当者様には常日頃大変お世話になってますので上司の方(若しくは同じ部署の方)とお名刺交換させていただけませんか。」と素直にお願いしてみましょう。
上司の方であればお客様の会社の近況や今後の方向性など経営レベルの視点で話が伺えますし、部下の方であれば商談に繋がる現場の情報などを入手出来るかもしれません。
メリット3:次回アポが取りやすくなる。お客様担当者の性格にもよりますが「ああ、今日会社に寄ってくれたんだ。不在で悪かったなあ。」なんて思って頂けるケースがあります。
アポ無しにも関わらず不思議なものです。
少し専門的になりますが、返報性の原理 という人間の持つ心理傾向があって、何かをしてもらったらお返しをしてバランスを取ろうとする心理のことをいいます。
後日タイミングよく「先日は突然の訪問で大変失礼致しました。改めてご面談のお時間を頂戴したいのですが。」とお願いするとスムーズにアポイントが取れる確率が上がったりします。
・必要な時にふと思い出してもらえるよう形を残せる。
・新しい人脈に出会えて、いつもと違った情報を入手できる可能性がある。
・次回のアポイントがスムーズに取れる可能性がある。
お客様担当者がいた場合
メリット4:単純にタイミングが良ければゆっくり面談が出来るかもしれません。
日頃の関係が良ければ多少は忙しくとも、あなたの突然の訪問を好意的に受け入れ話を聞いてくれるでしょう。一つの理想的な形ですね。
メリット5:担当営業のあなたに用件(時にはクレーム)があったけれど、なかなか連絡する暇がなかった場合「そうそう、ちょうど良かった。いいところに来てくれた。」となります。
商談に繋がる話・クレームのどちらかわかりませんがお客様が用件をあなたに伝えられた事は双方にとって有効です。何よりお客様がすっきりしますので満足度は上がりますね。
メリット6:「今忙しいから!」とその場でお断りされたとします。普通にあるケースです。
理由3と似ているのですが「悪かったな」という心理が担当者にはたらいた場合、次回のアポが取りやすくなります。
「先日はご多忙の時に大変失礼しました。改めてお時間をいただきたく」という感じでアポ取得してみましょう。
・普通に面談ができる可能性がある。
・お客様側にも用件があった場合にその内容をタイミング良く伺うことができる。
・次回のアポイントがスムーズに取れる可能性がある。
その他
メリット7:訪問しないとわからない目から情報を得られるという点があります。
例えば、受付の訪問者記帳欄に競争相手の会社が訪問していた。
⇒商談中であれば尚更これは気を付けないといけないというサインで危機感をもって対応を練ることができますね。
また、普段と違った会社の案内表示やオフィスのレイアウトが変わっていた。
⇒これは組織変更があったかもしれない。新設の部署名から経営者の重点方針がわかったり、組織の新担当者に挨拶をしておく必要があるなど、次のアクションを検討する上で色々なきっかけを得ることができます。
以上のように目から得られる情報も訪問しないとわからないものです。
アポなしのデメリット
もちろん上記に書いたメリットばかりではありません。
アポ無し訪問にはデメリットもあります。その点について説明します。
デメリット1:アポ無し訪問によって印象が悪くなる。
(お客様の性格)
お客様の性格によりますが、アポ無し訪問に対してあまり気にしないタイプとそうでないタイプがいます。
比較的「今日は何でしたか?」とあっさりしているタイプと「約束をしてから来て」とピシャリと断られるタイプがいますので日頃の会話からお客様の雰囲気や性格はつかんでおくことが大切です。
(お客様の繁閑)
忙しいタイミングに訪問したら気を付けましょう。さっと引くこともここは重要です。
お客様も普段は優しく暇なタイミングなら話を聞いてくれますが、忙しくピリピリしているとそうはいきません。せっかくの良い関係が場合によってはひびが入るので丁寧に即引くことが大切です。
デメリット2:ゆっくり話すことはできない。
当たり前ですが、相手の都合を聞かずに訪問してますので「短時間の勝負」になります。結論から入るのが良いです。相手が興味を持ち余裕があれば座って面談となるかもしれませんが、基本的には立ち話と心得てください。
デメリット3:足跡すら残せないリスクがある
最近は受付も無人化されカウンターに電話やパネルを置いているだけ、という会社も珍しくありません。上記のメリットで書いたように「名刺や資料を形として残せたり」「新しい人脈に出会えたり」が全くできないケースも稀にあります。
他人事には一切興味のない方が電話口に出て担当者不在なので、ガチャン!となると何にもすることができません。残念ながら完全に手ぶらで帰るはめになることもあります。
・お客様の性格や繁閑状況によっては印象が悪くなってしまう可能性がある。
・ゆっくり話をすることはできない。基本的には立ち話で短時間勝負となる。
・収穫ゼロのリスクがある。
ふと自問自答をしてみよう
私は営業マンを20年以上経験して現在に至ります。後輩や若手育成も一通りは経験してきていて現在も現役です。
時々アポなし訪問の是非については営業どうしの会話で議論のネタになるのですが、営業はお客様ごとに答えがあり唯一の正解はないのでアポ無し訪問に関しても同様である、というのが私の考えです。
アポ無し訪問は少しの勇気がいります。時々アポ無し訪問が嫌で「相手に迷惑がかかるから」「失礼になる」という理由を付けてアポ無し訪問を実践しない営業マンも見かけます。
そのお客様へのアポ無し訪問は本当にデメリットしかないのか?デメリットのみであれば止めておくべきでしょう。
ただ、先の事を考えると「担当者不在で上位の方との名刺交換」「興味を持ってもらえるかもしれない情報を残すこと」等のメリットがないのか? を今一度検討してみる必要があると思います。
嫌でやりたくないからアポ無し訪問を否定する なんてことになってないかを自問自答してみることが大切です。
アポ無し訪問時の実践パターン
ここまでメリットやデメリットなどを説明してきました。ここからは具体的な訪問時の代表的な実践パターンを紹介していきましょう。
何も無い時のパターン=商談と商談の間のつなぎ
実は理由は何でも良かったりします。いくらでも理由は作れるものです。
お客様のことが気になったから。先日購入いただいた製品の具合が問題ないか確認したかった。など
営業として心配で訪問したんです、というメッセージをきちんと伝えれば90%くらいの確率でアポなし訪問は受け入れられます。
営業マンによくあるのですが商談がまとまり契約完了となると、しばらく訪問しなくて疎遠になってしまうことがよくあります。そうならない為にも、気になったからアポなし訪問は案外有効です。
契約という1つの目的を果たしたのでそのお客様に頻繁に訪問する理由は無くなったのかもしれませんが「追加商談」「別件商談」「紹介」などまだまだ拡がる可能性もあるのです。
私自身がよくやるのが、この商談と商談の間を埋める活動でのアポ無し訪問です。
「改まって面談する程ではないけど次の商談に向けて新人脈やネタ探しをしたいな」
という状況でアポ無しは有効です。
お客様も契約後にも関わらず気にかけてくれてるな、販売して終わりという営業マンではないな、と感じてくれます。CS向上と商談発掘を平行できるんです。
アポ取得率向上の為のアポ無し訪問だったりもする
前途のメリットで触れましたがアポが取れる確率がぐっと上がります。
お客様からすれば特に求めていなかったアポ無し訪問でも「返報性の心理」が働いてアポがスムーズに取れたりするものです。100%ではないですが確率は上がるでしょう。
足跡として残した資料に関心があればアポ取得から商談発掘にもつながります。
打つ策がない時の突破口
これはやや強引なケースになります。新規開拓によく当てはまります。何とか攻略したいお客様だけど人脈もない、既存取引がなくきっかけもない、アポの電話をしても警戒して断られてしまう、という場合は訪問するしか手がありません。
飛び込み営業なんて昔からよく言われる方法ですが事前にお客様のことを調べておく必要はあります。
「こんなことで困っていないかな?」「同じような業界のお客様での自社の取引事例はあったかな?」
挨拶と同時に簡潔に話せる最低限の準備はしておきましょう。上手くいけば担当者らしき方に巡り合えるかもしれません。試されるのは「どれだけ相手に安心感を与えられるか」だと思います。
もともとこのパターンは失うものは何も無いはず。
そこまで実践してからあきらめ⇒見極めをしてもいいと思います。
アポなし訪問の注意点
ここまでメリットやデメリット、実践パターンについてお話してきましたが注意点にについても触れておきましょう。
注意① 迷惑がかかってしまう場合は「さっと引く」
どんなに良い資料であなたとの関係性が良くても訪問したタイミングがあまりにも悪ければ迷惑がかかってしまいます。社長から緊急の業務指示をもらっていたり急ぎのクレーム対応をしていたり。
あなたとの関係性が良く優しい方であれば無理して応対していながら「心ここにあらず」かもしれません。逆効果にもなり得るのでそんな時はさっと引きましょう。
注意② 警戒されて当たり前、低姿勢かつ訪問理由をシンプルに
アポ無し訪問は基本的に否定的な印象があり訪問する営業側もそのことをわかっているものです。
それが故に最初の挨拶で「予防線を張ってしまい、訪問理由を正当化しようとして」だらだらと挨拶して、結局何しに来たか応対者がよくわからず警戒され取り次いでもらえないことが多々あります。
まずは担当者の前に応対者(受付若しくは受付電話に出た方)に何を話せば良いかを明確に手短に伝えましょう。以下は参考例になります。
取引先の場合
「お約束頂いてないのですが○○様へ○○の用件がありお伺いしました。お見えになりますでしょうか?」
取引がない場合
「お約束頂いてませんが、□□のご担当者様に□□の最新情報をお渡ししたく、お繋ぎ頂けませんでしょうか?」※□□は製品名や業務内容が入るイメージ
低姿勢ですがシンプルに堂々と話すことが大切です。
最後に
この記事ではアポ無し訪問についての考察を私自身の経験から日々感じていることをポイントごとにまとめてみました。最後までお付き合いいただきありがとうございます。
営業をはじめたばかりや、お客様の懐に上手く入っていけずに悩んでいる方のお役に少しでも立てていれば嬉しいです。
こちらの記事も参考にしてください。
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